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残業代の正しい計算方法|未払い残業代の請求方法|2025年版

公開日:2025年12月24日|更新日:2025年12月24日|カテゴリ:給与・労働

「毎月30時間も残業しているのに、残業代が少ない気がする…」「固定残業代制だから、何時間働いても同じ?」――そんな疑問を持ったことはありませんか?

実は、多くの会社員が正しい残業代をもらっていない可能性があります。この記事では、労働基準法に基づいた残業代の正しい計算方法から、未払い残業代の請求方法まで、徹底解説します。

この記事で分かること:
  • 残業代の正しい計算方法(基本給からの計算式)
  • 時間外・深夜・休日の割増率の違い
  • 固定残業代の注意点と違法パターン
  • 未払い残業代の請求方法と時効
  • 証拠の集め方と請求の流れ

1. 残業代の基本|労働基準法のルール

法定労働時間とは?

労働基準法では、1日8時間・1週40時間を超える労働には、割増賃金の支払いが義務付けられています。

法定労働時間:
• 1日:8時間まで
• 1週:40時間まで

これを超えた分が「残業」です。

残業代の割増率

残業の種類 割増率 具体例
時間外労働
(法定時間超過)
1.25倍 平日9時〜18時勤務後、21時まで残業
深夜労働
(22時〜5時)
1.25倍 22時〜5時の勤務
時間外+深夜 1.5倍 平日22時以降の残業
休日労働
(法定休日)
1.35倍 日曜日(法定休日)の勤務
休日+深夜 1.6倍 日曜日22時以降の勤務
💡 意外と知られていないポイント:
「法定休日」と「法定外休日」で割増率が違います。週1日の法定休日(通常は日曜日)は1.35倍、土曜日などの法定外休日は1.25倍(時間外労働扱い)です。

2. 残業代の正しい計算方法

ステップ1:時間単価を計算する

残業代は「時間単価」を基準に計算します。時間単価は、基本給を月平均労働時間で割って算出します。

時間単価の計算式:
時間単価 = 基本給 ÷ 月平均労働時間

月平均労働時間の計算:
月平均労働時間 = (365日 - 年間休日) ÷ 12ヶ月 × 1日の所定労働時間

例:年間休日120日、1日8時間勤務の場合:
月平均労働時間 = (365 - 120) ÷ 12 × 8 = 163.3時間

基本給25万円の場合:
時間単価 = 25万円 ÷ 163.3時間 = 約1,531円
⚠️ 注意:基本給に含まれないもの:
• 家族手当
• 通勤手当
• 別居手当
• 子女教育手当
• 住宅手当
• 臨時に支払われた賃金
• 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

これらを除いた金額で計算します。

ステップ2:残業代を計算する

残業代の計算式:
残業代 = 時間単価 × 残業時間 × 割増率

【ケース1】平日の時間外労働20時間の場合:
• 時間単価:1,531円
• 残業時間:20時間
• 割増率:1.25倍
• 残業代:1,531円 × 20時間 × 1.25 = 38,275円

【ケース2】平日の深夜残業10時間 + 通常残業10時間の場合:
• 深夜残業代:1,531円 × 10時間 × 1.5 = 22,965円
• 通常残業代:1,531円 × 10時間 × 1.25 = 19,138円
• 合計:42,103円

【ケース3】休日出勤8時間の場合:
• 休日労働代:1,531円 × 8時間 × 1.35 = 16,535円

3. 固定残業代の注意点|違法パターン

固定残業代とは?

固定残業代(みなし残業代)とは、一定時間分の残業代を基本給に含める制度です。適法な場合もありますが、違法な運用をしている会社も多いので注意が必要です。

適法な固定残業代の条件

✅ 適法な固定残業代の3条件:

1. 固定残業代の金額が明示されている
給与明細に「固定残業代:5万円(30時間分)」などと明記されている。

2. 超過分の支払いが保証されている
固定残業時間を超えた分は、追加で残業代が支払われる。

3. 基本給部分が最低賃金を下回らない
固定残業代を除いた基本給が、最低賃金以上である。

違法な固定残業代のパターン

⚠️ こんな固定残業代は違法です:

パターン1:固定残業時間が明示されていない
「基本給に残業代を含む」とだけ書かれており、何時間分か不明。

パターン2:超過分が支払われない
固定残業時間30時間なのに、50時間働いても追加の残業代が出ない。

パターン3:固定残業代が異常に高い
基本給20万円のうち、固定残業代が15万円(月100時間分)など、明らかに不当。

パターン4:深夜・休日割増が考慮されていない
固定残業代は時間外(1.25倍)のみで、深夜(1.5倍)や休日(1.35倍)が別途支払われない。

固定残業代の具体例

【適法な例】
• 基本給:25万円
• 固定残業代:5万円(30時間分)
• 実際の残業:40時間

支払われる残業代:
• 固定残業代:5万円(30時間分)
• 追加残業代:時間単価 × 10時間 × 1.25 = 約19,138円
• 合計:69,138円

【違法な例】
• 基本給:25万円
• 固定残業代:5万円(30時間分)
• 実際の残業:40時間
• 追加残業代:支払われない(違法!)

4. 未払い残業代の請求方法

時効は3年間

未払い残業代の請求権は、2020年4月以降の分は3年間、それ以前の分は2年間です。時効が過ぎると請求できなくなるので、早めに行動しましょう。

⚠️ 時効の起算点:
毎月の給与支払日から起算されます。例えば、2025年1月分の給与(2月25日支払い)なら、2028年2月25日まで請求可能です。

請求の流れ(5ステップ)

ステップ1:証拠を集める

未払い残業代を請求するには、証拠が必要です。以下の書類を集めましょう。

  • タイムカード・出退勤記録(最も重要)
  • 給与明細(過去3年分)
  • 雇用契約書・就業規則
  • 業務メール・チャットログ(送信時刻で勤務時間を証明)
  • 残業指示書・業務日報
💡 タイムカードがない場合:
• スマホで出退勤時刻をメモ
• 会社のPCログイン・ログアウト時刻
• 業務メールの送信時刻
• 交通系ICカードの利用履歴

これらでも勤務時間の証明になります。

ステップ2:残業代を計算する

証拠を元に、未払い残業代を計算します。過去3年分の未払い残業代を合計しましょう。

計算例:
• 月平均残業:30時間(固定残業代なし)
• 時間単価:1,531円
• 月の未払い残業代:1,531円 × 30時間 × 1.25 = 57,413円
• 3年分の未払い残業代:57,413円 × 36ヶ月 = 約207万円

ステップ3:会社に内容証明郵便で請求

内容証明郵便で会社に請求書を送ります。これにより、請求した事実と日付が公的に記録されます。

内容証明郵便の内容:
• 未払い残業代の金額
• 計算根拠(勤務時間、時間単価、割増率)
• 支払期限(通常2週間程度)
• 支払わない場合の対応(労働基準監督署への申告、訴訟など)

ステップ4:労働基準監督署に相談

会社が支払わない場合、労働基準監督署に申告します。監督署が会社を調査し、是正勧告を出すことがあります。

ステップ5:弁護士に依頼・訴訟

それでも支払われない場合、弁護士に依頼して訴訟を起こします。訴訟では、未払い残業代に加えて遅延損害金(年3〜14.6%)も請求できます。

💡 弁護士費用の目安:
• 着手金:10〜30万円
• 成功報酬:回収額の15〜20%

未払い残業代が100万円以上なら、弁護士に依頼する価値があります。

5. 残業代が出ない違法パターン

パターン1:「管理職だから残業代は出ない」

これは多くの場合、違法です。労働基準法の「管理監督者」に該当しない限り、残業代は支払われるべきです。

管理監督者の3要件:
• 経営方針の決定に参加している
• 出退勤の自由がある
• 地位にふさわしい待遇を受けている

「課長」「店長」という肩書だけでは、管理監督者にはなりません。

パターン2:「年俸制だから残業代は出ない」

これも違法です。年俸制でも、時間外労働には残業代の支払いが必要です。

パターン3:「営業職だから残業代は出ない」

これも違法です。営業職でも、事業場外みなし労働時間制の要件を満たさない限り、残業代は必要です。

パターン4:「サービス残業は当たり前」

サービス残業は完全に違法です。会社が「暗黙の了解」としていても、労働基準法違反です。

⚠️ サービス残業のリスク:
会社は、労働基準法違反で6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科される可能性があります。悪質な場合、企業名が公表されることもあります。

6. よくある質問

Q1. 残業代の計算に賞与は含まれる?

賞与は含まれません。残業代の計算に使うのは、基本給と諸手当(家族手当、通勤手当などを除く)のみです。

Q2. 休憩時間は労働時間に含まれる?

休憩時間は労働時間に含まれません。ただし、「休憩」と言いながら電話番をさせられているなど、実質的に労働している場合は労働時間になります。

Q3. 会社を辞めた後でも残業代を請求できる?

できます。退職後でも、時効(3年間)が過ぎていなければ請求可能です。むしろ、在職中より請求しやすいケースもあります。

Q4. 残業代を請求したら会社から嫌がらせを受けた

労働基準法違反です。残業代請求を理由とした解雇、降格、減給などは違法です。労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。

7. まとめ|残業代は労働者の権利

残業代の正しい計算方法:

【計算式】
残業代 = 時間単価 × 残業時間 × 割増率

時間単価 = 基本給 ÷ 月平均労働時間

【割増率】
• 時間外労働:1.25倍
• 深夜労働:1.25倍
• 時間外+深夜:1.5倍
• 休日労働:1.35倍
• 休日+深夜:1.6倍

【固定残業代の注意点】
✅ 固定残業時間が明示されている
✅ 超過分が追加で支払われる
✅ 基本給が最低賃金を下回らない

【未払い残業代の請求】
1. 証拠を集める(タイムカード、給与明細など)
2. 残業代を計算する
3. 内容証明郵便で請求
4. 労働基準監督署に相談
5. 弁護士に依頼・訴訟

時効は3年間です。早めに行動しましょう!

残業代は労働者の正当な権利です。
泣き寝入りせず、正しい知識を持って請求しましょう。

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