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退職金にかかる税金を最小化する3つの方法|2025年版

公開日:2025年12月26日|更新日:2025年12月26日|カテゴリ:税金・金融

はじめに

「退職金に税金がかかるの?」「老後資金が目減りしてしまうのでは…」――退職を控えた方、または将来の退職金を考えている方にとって、税金は大きな関心事です。

実は、退職金は給与とは別の優遇税制が適用されるため、正しく理解すれば大幅に税負担を軽減できます。しかし、受け取り方を間違えると、数十万円〜数百万円も多く税金を払ってしまう可能性があります。

退職金2,000万円の場合の税金:

  • 勤続30年で一時金受取:約68万円
  • 勤続30年で年金受取:約200万円以上
  • 差額:130万円以上!

この記事では、退職金にかかる税金の仕組みから、税金を最小化する3つの方法まで、2025年版の最新情報を徹底解説します。

この記事で分かること:

  • 退職金の税金計算方法
  • 退職所得控除の仕組み
  • 一時金 vs 年金、どちらが有利?
  • iDeCo・企業型DCとの関係
  • 受取時期の最適化

退職金にかかる税金の基本

退職金は優遇されている

退職金(退職所得)は、給与所得とは別の計算方法で税金が計算され、大幅に優遇されています。

優遇ポイント:

  1. 退職所得控除が適用される(大幅な非課税枠)
  2. 控除後の金額を1/2にできる
  3. 分離課税(他の所得と合算しない)

退職金の税金計算式

ステップ1:課税退職所得金額の計算

課税退職所得金額 = (退職金 - 退職所得控除) × 1/2

ステップ2:所得税の計算

課税退職所得金額に対して、所得税の累進税率を適用

ステップ3:住民税の計算

課税退職所得金額 × 10%

退職所得控除額

勤続年数によって控除額が変わります:

勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円 × 勤続年数(最低80万円)
20年超 800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)

具体例:

  • 勤続10年:40万円 × 10年 = 400万円
  • 勤続20年:40万円 × 20年 = 800万円
  • 勤続30年:800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円
  • 勤続40年:800万円 + 70万円 × 20年 = 2,200万円

計算例

勤続30年、退職金2,000万円の場合:

退職所得控除 = 800万円 + 70万円 × (30 - 20) = 1,500万円
課税退職所得 = (2,000万円 - 1,500万円) × 1/2 = 250万円

所得税 = 250万円 × 10% - 97,500円 = 152,500円
復興特別所得税 = 152,500円 × 2.1% = 3,200円
住民税 = 250万円 × 10% = 250,000円

合計 = 152,500円 + 3,200円 + 250,000円 = 約40.6万円

勤続40年、退職金2,500万円の場合:

退職所得控除 = 800万円 + 70万円 × 20年 = 2,200万円
課税退職所得 = (2,500万円 - 2,200万円) × 1/2 = 150万円

所得税 = 150万円 × 5% = 75,000円
復興特別所得税 = 75,000円 × 2.1% = 1,575円
住民税 = 150万円 × 10% = 150,000円

合計 = 75,000円 + 1,575円 + 150,000円 = 約22.7万円

方法1:勤続年数を延ばす(最も効果的)

なぜ勤続年数が重要?

退職所得控除は勤続年数が長いほど大きくなるため、勤続年数を延ばすことが最も効果的な節税方法です。

勤続年数別の退職所得控除額

勤続年数 退職所得控除 前年との差
15年600万円-
20年800万円+200万円
25年1,150万円+350万円
30年1,500万円+350万円
35年1,850万円+350万円
40年2,200万円+350万円

20年を超えると、1年あたりの控除額が40万円→70万円に増加

税負担の比較

退職金2,000万円の場合:

勤続年数 退職所得控除 課税退職所得 税金
25年1,150万円425万円約96万円
30年1,500万円250万円約41万円
35年1,850万円75万円約4万円
40年2,200万円0円0円

30年勤続と25年勤続の差:55万円の節税!

勤続年数の数え方

1年未満の端数は切り上げ

  • 29年6ヶ月 → 30年
  • 34年1ヶ月 → 35年

⚠️ 注意: 定年退職日が年度途中の場合、あと数ヶ月で勤続年数が1年増えるなら、退職日の延期を検討する価値あり


方法2:一時金と年金、どちらで受け取るか最適化

退職金の受取方法

退職金の受取方法は、主に3つ:

  1. 一時金(一括受取)
  2. 年金(分割受取)
  3. 一時金 + 年金(併用)

税金の計算方法の違い

受取方法 課税方法 控除
一時金退職所得(分離課税)退職所得控除
年金雑所得(総合課税)公的年金等控除

一時金受取のメリット・デメリット

メリット:

  • 退職所得控除が使える
  • 課税所得が1/2になる
  • 分離課税で税率が低い
  • まとまったお金が手に入る

デメリット:

  • 一度に使い切るリスク
  • インフレに弱い

年金受取のメリット・デメリット

メリット:

  • 毎年一定額が受け取れる(安定)
  • 長生きリスクに対応

デメリット:

  • 雑所得として総合課税
  • 他の所得と合算されて税率が高くなる
  • 社会保険料(健康保険・介護保険)がかかる

シミュレーション

退職金2,000万円、勤続30年の場合:

パターン1:全額一時金

退職所得控除:1,500万円
課税退職所得:(2,000万円 - 1,500万円) × 1/2 = 250万円
税金:約41万円
手取り:約1,959万円

パターン2:全額年金(10年間、毎年200万円)

年金200万円 + 公的年金(夫婦で220万円)= 年間420万円
公的年金等控除:110万円
課税所得:310万円

所得税・住民税:約46万円/年
社会保険料:約50万円/年
10年間の合計負担:約960万円

手取り:約1,040万円

一時金の方が約900万円も有利!

最適な受取方法

基本的には一時金が有利ですが、以下の場合は年金も検討:

  • 退職所得控除を使い切っても多額の退職金が残る
  • 公的年金が少なく、雑所得が低い
  • 長期の安定収入が欲しい

推奨: 退職所得控除の範囲内は一時金、超える部分は年金


方法3:iDeCo・企業型DCとの調整

iDeCo・企業型DCの受取時も退職所得控除

iDeCo(個人型確定拠出年金)や企業型DC(確定拠出年金)を一時金で受け取る場合も、退職所得控除が適用されます。

問題:退職所得控除の重複

同じ年に退職金とiDeCoを受け取ると、退職所得控除の調整が必要

調整ルール

①加入期間が重複している場合

退職金とiDeCoの加入期間が重複している部分は、退職所得控除額から重複期間分を差し引き

②受取時期が14年以内の場合

先に受け取った方の退職所得控除のみ適用、後の受取は控除額が減額

具体例

勤続30年の退職金2,000万円を受取後、すぐにiDeCo(加入15年、500万円)を受け取る場合:

退職金の税金:

退職所得控除:1,500万円
課税退職所得:250万円
税金:約41万円

iDeCoの税金:

iDeCo加入期間:15年
通常の退職所得控除:600万円

しかし、退職金と重複期間(15年)があるため、
実際の控除額:0円

課税退職所得:500万円 × 1/2 = 250万円
税金:約41万円

合計税金:約82万円

最適化の方法

戦略1:受取時期を5年以上ずらす(改正前)

2024年までのルール:

  • 退職金とiDeCoの受取を5年以上ずらせば、別々に退職所得控除が適用できる

2025年からの改正:

  • 間隔が15年以上に変更される予定(2025年1月以降の受取から適用)

戦略2:iDeCoは年金受取にする

iDeCoを年金受取にすれば、雑所得として公的年金等控除が適用されます。

メリット:

  • 退職所得控除との重複を避けられる
  • 公的年金が少なければ、税負担が少ない

デメリット:

  • 総合課税のため、他の所得と合算
  • 社会保険料がかかる

戦略3:iDeCoは60歳で受取、退職金は65歳で受取

60歳でiDeCo受取:

退職所得控除(15年):600万円
iDeCo(500万円)は全額非課税

65歳で退職金受取(勤続35年):

退職所得控除:1,850万円
退職金(2,000万円)
課税退職所得:(2,000万円 - 1,850万円) × 1/2 = 75万円
税金:約4万円

合計税金:約4万円(受取を調整しない場合は約82万円)

節税効果:約78万円!

企業型DCがある場合

企業型DCとiDeCoを併用している場合:

  • 企業型DCの一時金は退職金と同じ扱い
  • iDeCoは別途調整が必要

推奨:

  • 企業型DC:退職と同時に受取(退職金と合算)
  • iDeCo:5年以上(できれば15年以上)ずらして受取

受取時期の最適化まとめ

パターン別の最適戦略

パターン1:退職金のみ(iDeCo・企業型DCなし)

最適: 退職時に一時金で受取

パターン2:退職金 + iDeCo

最適:

  • iDeCoを60歳で一時金受取
  • 退職金を65歳(または60歳から5年以上後)で一時金受取

または:

  • 退職金を一時金受取
  • iDeCoを年金受取(公的年金が少ない場合)

パターン3:退職金 + 企業型DC + iDeCo

最適:

  1. 退職金 + 企業型DCを同時に一時金受取(65歳)
  2. iDeCoを60歳で一時金受取(または年金受取)

パターン4:退職金が退職所得控除を大幅に超える

最適:

  • 退職所得控除の範囲内を一時金受取
  • 超過分を年金受取

よくある質問(FAQ)

Q1. 退職金から税金は天引きされる?

はい。「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出すれば、正しい税額が天引きされます。

提出しないと、20.42%が一律で天引きされ、後で確定申告が必要になります。

Q2. 退職金の確定申告は必要?

「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、原則不要です。

提出していない場合は、確定申告で精算します。

Q3. 転職した場合、勤続年数はどうなる?

基本: 前職の勤続年数は引き継げません。

例外: 同じ企業グループ内での転籍など、一定の条件を満たせば通算できる場合があります。

Q4. iDeCoと退職金、同時に受け取ると必ず損?

改正後(2025年〜):

  • 受取間隔が15年未満の場合、退職所得控除が調整される
  • 同時受取でも、合計額が退職所得控除内なら税金ゼロ

小規模なiDeCoなら同時受取でも問題ない場合もあります。

Q5. 65歳まで働いて退職金を受け取る予定。iDeCoはいつ受け取るべき?

2つの選択肢:

選択肢1: iDeCoを60歳で受取 → 5年後に退職金受取(改正前のルールで有利)

選択肢2: 退職金を65歳で受取 → iDeCoを75歳(または80歳)で受取(15年以上空ける)

推奨: 選択肢1(60歳でiDeCo、65歳で退職金)


まとめ:退職金の税金を最小化する3つの方法

退職金にかかる税金を最小化する方法を解説しました。

📌 重要ポイント:

方法1:勤続年数を延ばす

  • 20年を超えると控除額が大幅アップ(1年70万円)
  • 可能なら40年勤続を目指す(退職所得控除2,200万円)

方法2:一時金受取を優先

  • 基本的には一時金が有利(退職所得控除 + 1/2課税)
  • 年金受取は総合課税で税率が高くなる
  • 退職所得控除の範囲内は一時金、超過分は年金

方法3:iDeCo・企業型DCとの受取時期を調整

  • 2025年改正:受取間隔15年以上空けると退職所得控除が別々に適用
  • iDeCoを60歳、退職金を65歳(75歳)で受取るのが最適
  • またはiDeCoを年金受取にする

節税効果の比較(退職金2,000万円、iDeCo500万円の場合):

  • 同時受取:税金約82万円
  • 5年以上空ける:税金約41万円
  • 節税効果:約41万円

今すぐできること:

  1. 自分の勤続年数と退職所得控除額を確認
  2. 退職金の見込額を会社に確認
  3. iDeCo・企業型DCの残高と受取予定時期を確認
  4. 受取時期の最適化シミュレーションを実施

退職金は老後の大切な資金です。賢く受け取って、税負担を最小化しましょう!

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